任意後見

 任意後見とは、ご本人に判断能力があるうちに、将来断能力が不十分になったときに備えて、ご本人(委任者)を支援する人 (任意後見受任者)と予め公正証書で契約をしておく制度です。

手続きの流れ

★任意後見受任者と契約内容の検討 ・委任する内容、報酬を決めておく              ★任意後見契約締結 ・委任者と任意後見受任者が、公証役場で契約                    ↓                                         ★ご本人の判断能力が低下                                       ↓                                         ★任意後見監督人選任 ・家庭裁判所に申立て                          ★審判確定(後見開始)・法定後見と同様に調査等が行われ、審判から約2週間後に確定 任意後見契約  ご本人(委任者)と任意後見受任者となる人が予め公正証書で任意後見契約を締結します。     ・委任者の後見事務(生活、療養看護又は財産の管理に関する事務)の全部又は一部         ・任意後見監督人が選任された時から契約の効力が発生する旨の特約を付すこと が基本内容です。

任意後見制度の3つの類型( 即効型 、 将来型 、 移行型 )                  即効型…判断能力が低下した人が任意後見契約を締結した後、直ちに家庭裁判所に任意後見監督人の  選任申立てをしますが、果たして任意後見契約が有効に締結されたのかという点で問題が生じる場  合があります。判断能力の不十分さの程度によっては、法定後見を利用したほうがよい場合がある  め、注意が必要です。                                    将来型…将来のために任意後見契約を締結しますが、契約時からご本人の判断能力が低下し、任意  後見監督人選任の申立てまでに時間的な空白が生じるため、任意後見受任者がご本人と日頃一緒に  いない場合など、時間的に申立てが遅れたり、場合によっては申立てされない危険性があります。  さらに、任意後見監督人選任の申立てから実際に選任されるまでの契約の効力が生じていない間、  ご本人保護の問題が生じることがあります。                          移行型…任意後見契約を締結する際、同時に任意代理契約(委任契約)を締結し、ご本人の判断能力  があるときから任意後見受任者が財産管理や身上監護の面で関わりを持ちます。ご本人の判断能力  が低下し、任意後見監督人が選任され任意後見人となり、引続き円滑に後見業務を行います。

移行型(任意代理契約+任意後見契約)                          ご本人の判断能力が低下するまでの間、任意後見受任者は、任意代理契約に基づき代理権を行使し、ご本人の判断能力が低下してからは、任意後見契約に基づき代理権を行使することになります。したがって、任意後見監督人選任申立てから選任されるまでの間もご本人を保護することができます。 また、ご本人の判断能力がある時点から、財産管理や身上監護の面で密接に関わるため、疎遠になりにくく、ご本人の財産や健康状態を予め把握しておくことができます。

死後事務委任契約                                       任意後見契約を締結する際、同時に死後の事務委任契約を締結することもできます。葬儀や埋葬などについて、ご本人の意向にそった事務を委任しておきます。

任意後見契約公正証書の手数料                                1つの契約につき11,000円です。病院等に出張して任意後見契約公正証書を作成する場合は、病床執務加算、日当、旅費が加算されます。                            (登記嘱託手数料) 任意後見契約は登記が必要となり、1契約ごとに公証人が嘱託をします。 登記嘱託手数料1,400円、収入印紙2,600円です。

任意後見人になれる人                                     法律上の制限はありません。複数の任意後見人も可能です。行政書士等の専門家がなる場合は、予め契約で月々の報酬等をご本人と決めておきます。

任意後見監督人                                        ご本人の判断能力が不十分になったとき(法定後見制度でいう「補助」相当に該当する程度の判断能力になったとき)、家庭裁判所に任意後見監督人選任申立てを行います。               申立てができる人 (申立権者) ご本人、配偶者、四親等内の親族又は任意後見受任者         ただし、ご本人が申立てを行う場合およびご本人がすでにその意思表示をすることができない場   合を除き、申立てにはご本人の同意が必要です。                       申立てに必要な書類  申立ての書類はご本人の住所地の家庭裁判所に提出しますが、東京家庭裁  判所では次の書類が必要となります。裁判所によって提出書類が異なる場合がありますので、管轄  の家庭裁判所のサイト等で確認してください。                         (東京家庭裁判所に提出する書類) 親族関係図、申立書、ご本人の診断書及び付票(知的障がい者の  場合は愛の手帳のコピー)、ご 本人の戸籍謄本、ご本人の住民票、ご本人が登記されていないこと  の証明書、登記事項証明書、任意後見契約公正証書の写し、申立事情説明書、任意後見受任者事情  説明書、ご本人の財産目録及び収支状況報告書に関する資料な                  申立て費用  申立ての際に指定された収入印紙と郵便切手を提出します。東京家庭裁判所では次の  収入印紙と郵便切手が必要となります。裁判所によって必要な郵便切手が異なる場合がありますの  で、管轄の家庭裁判所のサイト等で確認してください。                     (東京家庭裁判所で必要となる申立て費用) 収入印紙(申立費用分として400円×2枚、登記費用  として1,000円×1枚、400円×1枚。   郵便切手3200円(内訳;500円×3枚、  100円×5枚、82円×10枚、52円×2枚、20円×8枚,10円×10枚、1円×16枚)

任意後見受任者と任意後見人                                  契約でご本人から将来の支援を委任された人を「任意後見受任者」といいます。任意後見監督人が選任され、任意後見契約が発効すると任意後見受任者は「任意後見人」となり、任意後見監督人に監督を受けることになります。


成年後見制度Q&A

Q 成年後見制度とは、どのような制度ですか?                         A 判断能力が不十分な高齢者、知的障がい者、精神障がい者などの方々の財産管理や契約を補助した り代理することにより、その方々が安心して生活ができるように支援し、権利を守る制度です。

Q どのような人が利用できるのですか?                            A 今すでに判断能力が不十分というときには、法定後見制度を利用できます。今は元気だけど、今後 もし認知症などになったときのことが心配というときには任意後見制度を利用できます。

Q 銀行から、認知症の方は後見人を付けてくださいと言われましたが?             A 判断能力が不十分である場合に、その方の権利を守る制度が成年後見制度で、ご本人、配偶者、四 親等内の親族等が家庭裁判所に成年後見の申立てをして、家庭裁判所は審判により後見人等を選任し ます。申立ての際には後見人等の候補者を挙げることはできます。                 後見制度では、ご本人の判断能力に応じて、「 補助 」「 保佐 」「 後見 」の3つの種類(類型) があります。

Q 任意後見制度とは?                                    A ご本人に十分な判断能力があるうちに、将来判断能力が低下したときに備え、任意後見人となるべ き人を決め、その人と公正証書で契約を結んでおきます。任意後見人は、家庭裁判所が選任した任意 後見監督人の監督のもと、契約の範囲で本人に代わって仕事をします。

Q 成年後見制度を利用した場合に費用はどのぐらいかかりますか?                A 法定後見の場合 → 法定後見の申立費用                           任意後見の場合 → 任意後見の公証役場の費用                        任意後見契約の場合は、公正証書作成で最初に費用がかかり、任意後見監督人選任申立てのとき  には、家庭裁判所への申立て費用がかかります。 →  任意後見監督人選任申立て費用        また、専門家に依頼した場合はその費用も必要となります。

このほか、後見に関するQ&Aは下記のサイトも参考にしてください。               東京家庭裁判所Q&Ahttp://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/koken/koken_qa.html 日本公証人連合会http://www.koshonin.gr.jp/index2.html