遺言に関する業務
行政書士は、次のような遺言に関する業務を行っています。
1 遺言作成支援
ご自分が亡くなった後の相続財産の分け方について、ご自分の意思を反映させたいと考えている場合、遺言を作成しておくのが最も有効な方法です。遺言は被相続人の最後の意思表示となりますので、原則として尊重されることとされ、遺言で指定された相続分(指定相続分)は法定相続分に優先することとされているのです。
一般的な場合に作成される遺言には、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」とがあります。どちらにもメリットとデメリットがありますが、行政書士はいずれを作成する場合でも、そのお手伝いをすることができます。
自筆証書遺言作成の場合には、所定の方式が具備されているかのチェックのほか、後々でトラブル発生の可能性が低いと考えられる遺言内容のご提案などを行い、遺言をしようとする方が安心して遺言書を作成していただけるよう、バックアップいたします。
また、公正証書遺言作成の場合には、遺言内容のご提案から公証人との連絡・打合せ、公正証書作成に必要な戸籍等の書類の収集、証人の手配など、遺言作成を全面的にサポートさせていただきます。
2 遺言執行
遺言執行とは、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をすることをいい、未成年者・破産者以外の者であれば、遺言執行者となることができます。
遺言者は、遺言で一人又は数人の遺言執行者を指定することができます。
遺言によって相続財産を受け取ることになっている相続人を遺言執行者に指定することも可能ですが、相続人間のトラブルを未然に避ける意味でも、信頼できる第三者、ことに法律の知識を有する専門家に依頼するのが安心です。
法的知識を有する専門家であって、かつ遺言の内容を把握しているという点では、遺言の作成に関わった行政書士も遺言執行者の候補者となるでしょう。遺言執行者の指定についても、どうぞお気軽にご相談ください。
3 遺言書の有無の確認
相続が発生した場合、遺言書があるかどうかによって、相続財産の分け方に大きな影響が生じます。その遺言の内容によっては、相続人の範囲や、遺産分割協議の対象となる財産の範囲が変わることがあるからです。
公正証書遺言は、公証役場で管理しています。平成元年以降に作成された遺言書については、相続人等利害関係人は、所定の手続により全国どこの公証役場でも照会することができます。
他方、自筆証書遺言の保管場所については決まりがありませんので、保管場所が遺言者から伝えられていない場合には、生前の言動などから保管場所を捜索することになります。自宅以外では、貸金庫に保管されていたり、知人や専門家に預けられていたりします。
なお、平成30年7月6日「法務局における遺言書の保管等に関する法律」が成立し、同年7月13日に公布されました。同法の施行は、公布日から2年以内とされています。
保管対象は、民法968条による自筆証書遺言による遺言書のみで、封のされていない法務省令で定める様式に従って作成されたものとされています。
この場合、遺言者自ら、法務大臣が指定する法務局に出頭して遺言書の保管の申請を行い、法務局では遺言書の原本とその画像情報等を管理することとなります。
法務局に保管された遺言書については、民法1004条1項による遺言書の検認の手続は不要とされています。
行政書士は、相続人から委任を受けて、代理人として公証役場等への照会を行うことができます。また、遺言書を保管している又は保管している可能性のある関係者などとの連絡・調整についても、可能な限りお手伝いをいたします。
4 遺言書の検認手続支援
公正証書以外の遺言は、家庭裁判所における検認手続を経ないと、事実上遺言内容を実現することができません。遺言書に家庭裁判所が検認した証明が付けられていないと、遺言に基づく預貯金の払戻しや名義変更、不動産の相続登記ができません。
家事審判(検認)申立書は、裁判所に提出する書類ですので、行政書士が業務上作成できる書類ではありませんので、最終的な作成・提出は申立人ご本人に行っていただく必要がありますが、行政書士は、申立人に代わって、申立書の記入方法等手続の詳細について裁判所に問い合わせを行い、あるいは裁判所への提出に当たって申立人に同行する等のお手伝いをすることができます。
なお、検認申立てに当たっては、相続人目録を作成の上、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本及び相続人全員の現在の戸籍謄本を提出することが求められますので、事前に「相続関係説明図」のような形で相続関係を整理して、「相続人の確定作業」をしておくことをお勧めいたします。これは、検認申立書作成時の労力を軽減することにもつながります。
遺言書の検認につきましても、下準備から行政書士がお手伝いすることができますので、お気軽にご相談ください。
5 委任契約・業務報酬
業務についてのご相談は原則として有料となりますが、初回のご相談は、30分無料とさせていただいております。
説明を受けていただき、依頼される業務の範囲や報酬額についてご了承いただきましたら、委任契約を締結していただくことになります。
委任契約締結後、行政書士は速やかに業務に着手いたします。
なお、委任契約の性質上、戸籍謄本代等の実費を事前にお預かりすることもございますので、ご了承ください。
委任契約にある業務に対応する事務処理が終了した時点で、所定の報酬額のお支払いをお願いいたします。着手金を申し受けている場合には、その部分を控除した残額がお支払い額となります。また、未精算の費用がある場合には、その精算も行わせていただきます。